青猫文具箱

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ゆるふわ系愛され女子☆は書店でSF文庫を手に取るか?

今更ですが「本当は女子にこんな本を読んでいてほしいんだ。」フェアについて。

東野圭吾も村上春樹も好きで「あ、呼びました?」みたいな気分だったので書きます。ちなみに今日のハンドバックには堀川アサコ先生の「幻想郵便局」が入ってました☆

幻想郵便局 (講談社文庫)

幻想郵便局 (講談社文庫)

 

実際店頭でPOPに「本当は女子にこんな本を読んでいてほしいんだ。」と言われた身としては「売れないなら文庫よりさっさと電子書籍出せよ」だったのですが、そうか、ジェンダー論的視点が入るのですね。面白いなと思いました。確かにその視点だと「嫌いなコピー」かなー。

 

中止に追い込まれるほどひどかったかは謎ですが、タイミングは見誤った気がする。「大義名分を取った方」にはどうしても勝てないので、今は女性主体のプロジェクト(しかも子持ちワーママ)以外は危ないよなーと。

ちょっと前に読んだ 「仕事の大事は5分で決まる」(作者:宮家邦彦) では外交官としての自身の経験から「交渉では大義名分を取る」のが重要だから「ゲームの基本ルールは自分に取り込め」な教訓が出てきますがそんな感じ。ゲームの基本ルールを取り込んだ方が勝ちやすいに決まってるのです。

仕事の大事は5分で決まる

仕事の大事は5分で決まる

 

「アベノミクス的女性活躍」のタイミングで大義名分を取るのはどちらか、わかりやすい構図ですよね。国会で、女性活躍政策や対女性大臣への質問を、だいたい同じ女性議員に任せてたのは、その最たるモノだと思ってます。大義名分ある「女性」アイコンに対して男性議員をぶつけるのはリスクが高いからやらない。

だからむしろ、フェア中止ではなく、翌週に「だから君はモテないんだぞ☆非モテ男子のためにモテ女子社員が選んだ哲学書」をぶつけてきて、カオスの海に放り込む作戦だったら神展開だったのに、と思わなくもないです。

振り子はどちらかに偏らせるから揺れるのであって、両方同じ力で引っ張れば停止するのみ。潜んだジェンダー観が問題であって、わかっててやる分には大した問題じゃないと思うので。要はバランスですね。

 

そもそも「読んでほしいんだ。」のターゲットって誰なんでしょうか。「流行に流されやすいゆるふわ系愛され女子☆」あたり?

この層って「男子」が理想化する通りに実存するかは別にして、無知に振舞うからこそ愛され系なのであって、実際SF文庫を本屋で手に取るかというとターゲティングミスを感じざるを得ない。ふと目に止めたインテリ女子がイラっとする率の方が実際高かったようですし。

もしファッションの一環として持ってほしい文庫、であれば、むしろおしゃれな雑貨屋さんなんかに同じコピーで置けば違和感なかったかも。海外赴任が決まった同僚が、インテリアとして「武士道」「学問のすすめ」「菊と刀」あたりを持ってったので、とても理解できます。現地の人たちを呼んでホームパーティする時に、日本人的ファッションとして必要なんだそうな。

 

このまとまりのない記事の感じから御察しの通り、これ単体で思うことは少なかったんですが、インドだったりイスラム圏の女性の地位の低さと重ね合わせてみると、こうしたジェンダー論的視点を持つのは必要だろうな、と感じる今日この頃です。日本だから、一部の話だから、とローカルに落とし込むのは危険なんじゃないかと。 

だって、ちょっと間に話題になったワンピースの女性の性的消費の話。

ワンピースが世界中に翻訳され展開されるグローバルな世の中で「海賊の物語なんだし時代が違うから女は性的消費の対象でも別にいいだろ」なんて油断して賞賛していると、静かに無意識に望まぬ誰かに大義名分を与えているような気持ち悪さを覚えるのです。

なにせ、グローバルな世の中のクールジャパンなタイミングですから。

 

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